読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

健ヲタ♂オッス!

強く美しくあり続けたいメンズにささげる、美容×健康エンタメ

クエン酸は疲労回復に本当に効くのか?

疲労回復

ここで、問題です。

日本人に一番人気の疲労回復サプリメントは、一体何でしょう?

その答えは…

筆者以外を除く日本人全員を脳内全数調査した結果によれば、それはクエン酸に他なりません。

コンビニの飲料コーナーやサプリ棚をのぞけば、どこもかしこもクエン酸だらけです。

スポーツドリンクにもクエン酸、栄養ドリンクにも野菜ジュースにもクエン酸、ゼリーにもプリンにもヨーグルトにもクエン酸、ウシにもウメにもウコンにもウンコにも、何でもクエン酸です。

そんな存在感あり過ぎ、皆に愛されているクエン酸ですが、本当に疲労回復に効果あるのでしょうか?

クエン酸パワーを信仰している我々は、その力を科学的に理解しつつ、現実にその効果を体感しているのでしょうか?

この問われないドグマ、暴かれざるべき真実を解き明かすために、クエン酸について深く調べてみることにしました。

photo by merec0

INDEX

1. クエン酸の凄いかもしれない特徴

まずは、クエン酸の比較的良さげな特徴を挙げます。

1-1. カーボローディングを高速化

スポーツ選手がよく行う、カーボローディングを高速化できると言われています。カーボローディングとは、試合前にたっぷり糖質を摂って、肝臓や筋肉中のグリコーゲンを一気に増やし、試合中に使えるエネルギーを十分確保する方法です。

その時に糖質と一緒にクエン酸を摂ると、グリコーゲンの再補充を早めると言われています。

1-2. 疲労MAX時のドーピング

クエン酸は、グリコーゲンの分解を抑えて、ブドウ糖からのエネルギー産生を阻害する一方、乳酸からのエネルギー産生を増やすという説があります。

よって、アスリートが、ハーフタイムなどの疲労がピークの時、つまり乳酸値が高い時*1に、クエン酸を摂取すると効果的と言われています。

グリコーゲンの枯渇を防ぎつつ、回復に必要なエネルギーを乳酸から得られるためです。

1-3. 痛風治療薬・美肌効果・洗浄用など用途いっぱい

痛風治療・美肌用・洗浄剤・保存料・酸味料など、クエン酸は疲労回復以外のさまざまな目的でも使われています。

 

2. クエン酸の吃驚摂取体験談

f:id:hucky:20151119060027j:plain

続いて、実際に摂取してみた感想です。

2-1. 【実験】クエン酸1日5000mgを1週間摂取

無水クエン酸粉末を1回1000~2000mg、1日計5000mg程を1週間継続摂取し、期間中・期間直後の状態を観察しました。摂るタイミングは、基本朝・晩で、昼間は仕事の休憩中など時間の空いた時です*2

仕事時間は残業で1日1~2時間程度の変動があり、仕事の強度自体は1週間ほとんど変わらず、といった条件で行いました。

2-2. クエン酸サプリメント摂取後の感想

f:id:hucky:20151119060041j:plain

体感として、飲んですぐに疲労が消える、というタイプではありません。特に朝~15時頃に飲んでも、体調は普段と変わらりませんでした。

ただ、疲れのピークがいつも夕方16時くらいに来ていたのですが、ピークがいつもより1時間ほどズレて17時くらいに来るようになりました。ピーク時のお疲れ度も、いつもより何となく減った感じです。

一方、15時の休憩中に摂るのを忘れた時は、いつも通り16時に疲労のピーク来ました。プラセボ効果でないとすれば、疲労を遅らせたり、疲労感を薄めたりする効果はありそうです。

また、朝など疲れていない時は、飲めないくらいの強い酸味を感じる一方、夕方以降の疲れがピークの時は、同量でも飲みやすい程よい酸味に落ち着きました*3

問題点として、何日か飲み続けていると、歯の表面がツルツルしてきます。続けて何日も大量摂取すると、歯には良くなさそうです*4

 

3. クエン酸の真面目な科学的評価

と、ここまでクエン酸について、割り合いポジティブなことを多めに書いてきましたが、実はクエン酸の疲労回復効果に対する科学的評価は低めです。

ヒトに対する研究で、確実に疲労に効果ありと言い切れるような十分な証拠・データは、現在のところありません。

以下、自分自身のクエン酸体験とは少し距離を置いた上で、データや論文を元にし、クエン酸疲労回復説の否定論と肯定論の両面から、僕の意見を述べます。(普段とはトーンを変えて、真面目に語ります!)

3-1. クエン酸疲労回復説の否定論

まずは否定論です。

  1. パフォーマンスに与える影響
  2. TCA回路活性化説
  3. 血液pHアルカリ化説
  4. 国内外の認知の差

の4点について、疑念を述べます。

3-1-1. パフォーマンスにそれほど影響を与えない

クエン酸の疲労回復効果で一番否定的な点は、ヒトに対する、ある程度信頼できるレベルの研究で、運動能力向上など、明確にパフォーマンスを上げるという研究結果が出ていないことです。

例をいつくか挙げます。

▼10名の男性ランナーが体重1kgあたり500mgのクエン酸ナトリウムorプラセボ摂取後、5km走。水分保持量、血中phなどは増えたものの、パフォーマンスに変化なし。[2004]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15630143?dopt=Abstract

▼18名の被験者が8日間事前に1日2,700mgのクエン酸摂取後、自転車運動。主観的疲労度とクロモグラニンAの値は有意に低下したが、パフォーマンスは特に変わらず。[2007]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2243251/

▼8名の被験者が体重1kgあたり400mgのクエン酸ナトリウムorプラセボ摂取後、通常気圧or低気圧低酸素条件下で、膝の屈伸運動。通常気圧下でのみ耐久時間が有意に増加。[1995]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8549581?dopt=Abstract

他にもクエン酸に関する小規模な研究はいくつかありますが、いずれも血中pHや乳酸値などの生理的変化はあるものの、パフォーマンスを著しく変えるという研究結果はありませんでした。

変化ありとする研究も、条件付きだったり、効果が限定的だったりで、インパクトに欠ける感じです。

というわけで、何となく効きそうな気がするんだけれども、実質的な疲労に対しては大して影響を与えていないのが、クエン酸の真の姿です。

3-1-2. TCA回路活性化説は奇妙

クエン酸が疲労回復に効果ありとする理由で、よく「TCA回路を活性化する」という説が挙げられます。

しかし、これは奇妙な仮説です。

活性化の意味合いは色々あるようですが、ここではごく自然に、「TCA回路全体の反応速度を上げること」と解釈しましょう。

クエン酸を経口摂取すると、一見、材料がたくさん増えることで反応速度が上がりそうな気がします。ところが、残念ながらそうはなりません。摂取したクエン酸がTCA回路に辿りつかないためです。

TCA回路の反応は、細胞内の、ミトコンドリアの、内膜の内側という、場末のバーみたいな狭いマニアックな場所で行われますが、外から摂取したクエン酸は、このミトコンドリアの内膜を通過できないのです。

クエン酸は、ミトコンドリア内膜の内側で別の材料から生成されるもので、過剰に生成された分が内膜の外側に移動することはできても、その逆はありません*5

そもそもミトコンドリアに辿りつくまでにも、いくつか壁があります。腸から血中に入ったクエン酸の過剰分は、血液pH維持のために腎臓でオシッコ化して捨てられます。首尾よく細胞内に入り込んだものたちも、あえなく脂肪酸の材料にされます

もしTCA回路の反応速度を本気で高めたいのであれば、回路に入る直近の材料であるピルビン酸やアセチルCoAの供給を増やすか、回路内外の各酵素の数を増やし、その活性度を上げる方が効果的なはずです*6

それこそ普通にブドウ糖を摂った方が、ピルビン酸の供給が増えるため、TCA回路をダイレクトに活性化できるでしょう。わざわざ中途半端にクエン酸なんぞを摂るよりも、よほど効率的です。

むしろミトコンドリアの外にある細胞内のクエン酸は、このピルビン酸のブドウ糖(またはその集積であるグリコーゲン)からの供給経路を阻害してしまいます*7過剰なクエン酸は活性化どころか、効率の良いエネルギー産生にとって、邪魔になる可能性すらあるのです*8

というわけで、諸々突っ込みどころがあって奇妙なのが、このクエン酸TCA回路活性化説です。

3-1-3. 血液pHアルカリ化説は微妙

続いて、まことしやかに語られるのが、血液pHアルカリ化説です。

確かに血液pHの変化は酵素の活性に関わります。また、クエン酸塩がpH調整剤や痛風の治療薬*9としても使われているように、クエン酸が血液中でアルカリ化剤として機能しうることも事実です。

しかし、血液は、クエン酸があろうがなかろうが、安静中であろうが運動中であろうが、肉体に備わった数々の機能を駆使し、激しい運動などで一時的・局所的に酸性化に振れたとしても、弱アルカリ性のほぼ一定のpHを維持します*10

つまり、血液pHアルカリ化のために、あえてクエン酸を摂ることが大したメリットにならないのです。血液pHの維持は、健康であれば、体の中で普通に起っています。

病気でもない限り、わざわざクエン酸で促進する必要性があまりないのです。後述しますが、過剰摂取の方が危ないくらいです。クエン酸、色々間に合ってます。

一定の狭い範囲で血液pHで収まっているとしても、できるだけアルカリに傾いている方が良いのだ、アルカリ化剤は日頃から少しでも体内にたくさんある方が良いのだ、という理屈もあるかもしれません。いざという時には、何事も僅差が重要である、と。

しかし、激しい運動などによって、一時的に筋肉が酸性化する場合、その筋肉の酸性化がむしろ疲労を抑制しているという説もあります*11無駄なアルカリ化は、程よいpHバランスを崩してしまい、疲労回復にとって逆効果になる可能性もあるわけです。

というわけで、一見凄そうだけれど、よく考えてみれば実に微妙なのが、このクエン酸血液pHアルカリ化説です。

3-1-4. 日本ローカルの古い説?

クエン酸疲労回復説のもう一つ気になる点は、日本以外の国であまり話題になっていないことです。

Wikipedia日本版のクエン酸の項目には、疲労回復説について少し触れられているものの、英語版では何の言及もありません。

▼クエン酸 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%B3%E9%85%B8
▼Citric acid - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Citric_acid
▼Citrate - WIkipedia*12
https://en.wikipedia.org/wiki/Citrate

サプリ好きアメリカでも、疲労回復アイテムとして売られていません。著名サプリメーカーのNow社にもクエン酸はありますが、サプリのラインナップでなく単なる保存料として売られています。

▼Nowfoods.com - Citric Acid
http://www.nowfoods.com/Citric-Acid-100-percent-Pure-4oz.htm

確かに”クエン酸塩”サプリとしては、クエン酸カルシウムやクエン酸マグネシウムの形で売られてはいます。しかし、これらのクエン酸はミネラルの吸収補助*13を狙ったもので、メインはあくまでカルシウムやマグネシウムです。

▼Nowfoods.com - Calcium Citrate
http://www.nowfoods.com/Calcium-Citrate-Caps-240-Veg-Capsules.htm
▼Nowfoods.com - Magnesium Citrate
http://www.nowfoods.com/Magnesium-Citrate-Veg-Capsules.htm

ちょっとでも良さげな科学的証拠があろうものなら遠慮なく売りに出すような、金儲け大好き、サプリ大好きなアメリカ人でさえ直接サプリ扱いしないということは、彼らすら評価に値する科学的証拠が乏しいと推察できます*14

3-2. クエン酸疲労回復説の肯定論

続いて、肯定論です。

  1. グリコーゲン貯蔵量up・乳酸利用率up
  2. 主観的疲労感を下げる

の2つが肯定できる点です。

3-2-1. グリコーゲン貯蔵量up・乳酸利用率up

動物実験も含め、数々の研究の中で唯一はっきりしていることは、クエン酸はグリコーゲン再補充を促し、乳酸利用率を上げるという点です。

動物実験レベルではありますが、ブドウ糖との同時摂取で、グリコーゲン貯蔵量が増えた、という研究があります。

▼ラットを疲れ果てるまで運動させた後、クエン酸+グルコースを経口投与。グルコース単独投与に比べて、肝臓・筋肉のグリコーゲン再補充が促進。[1993]
http://hdl.handle.net/2241/6159

これは、カーボローディング高速化の一つの根拠となっています。

また、上の方にあげたパフォーマンスを変えないとする研究であっても、クエン酸は運動後の乳酸値を下げる、乳酸の代謝を促進するという点では、およそ共通しています。

グリコーゲン貯蔵量が上がるのも、乳酸値が下がるのも、明確な理由があります。

ブドウ糖・グリコーゲンからエネルギーを抽出する過程を解糖系と言いますが、クエン酸はこの解糖系の重要な経路を途中で妨害するのです。その結果、グリコーゲンの分解が抑制され、その一方で、代わりのエネルギー源として、乳酸が利用されます*15

これは、疲労MAX時(というより高血中乳酸時)にクエン酸が活用できる理由でもあります。

グリコーゲンを早く回復させたい、つまり摂取した糖分をエネルギーにせず、できるだけグリコーゲン側に回したい時に、運動中・運動後で乳酸値が高ければ、クエン酸を使うことで乳酸をエネルギー源として活用しやすくなるわけです。

3-2-2. 主観的疲労感を減少

もう一つのクエン酸のポジティブな面。それは、主観的疲労感の解消にはどうやら役立つかもしれないという点です。

パフォーマンスのところでも挙げたものですが、こういった研究があります。

▼18名の被験者が8日間事前に1日2,700mgのクエン酸摂取後、自転車運動。主観的疲労度とクロモグラニンAの値は有意に低下。[2007]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2243251/

VASという、物差しで体感を自己申告する方法を使って、疲労感を測定したところ、クエン酸摂取群の方が有意に疲労度が下がる、という結果が出ました。

クロモグラニンA*16は、精神的ストレスを測る指標として使われていますが、これも有意に下がる、という結果です。

これらは、運動前のクエン酸の摂取が、ストレスの減少につながることを示唆しています。

 

4. クエン酸の超個人的考察

アスリートのようにハードな運動習慣を持っている人が、休憩中や運動後、気休め程度に使ってみるのは良いかもしれません。グリコーゲンローディングの補助や、運動前後のリカバリーには、使い方次第で活用できそうな気がしなくもないです。

しかし、実際のパフォーマンスを高めるかどうかは微妙です。欧米では、リカバリーの方法としてのクエン酸摂取は、主流でないようです。

一方、運動しない普通人にとって、クエン酸は果たして役立つのでしょうか?

まず、TCA回路活性や血液pHアルカリ化云々など、エネルギー活性に効果ありとする説明は、大げさ過ぎ、誇張し過ぎなので、信じても無駄です。痛風の予防には多少役立ちそうですが、疲労回復には直接関係ありません。

ただし、僕自身が疲労感の変化を体感した事実もありますし、それを裏付ける研究も一応存在します。

このことから、一つの仮説に思い至りました。クエン酸の疲労回復効果は、エネルギー産生面よりもむしろ、疲労情報の伝達面に強く関わっているのではないか、と。

つまり、クエン酸は、酸味の与える強い体感変化と相まって、メンタル面、脳神経系に対して何かしら影響を与えるのではないでしょうか。その結果、プラセボ、つまりハッタリとして効きやすいのだと考えています*17

酸っぱいからこそ体感として何か効いている感じがして効果を信じやすく、信じるがゆえに飲めば飲むほどパワフルに効く。この酸味と信念の連関こそがクエン酸の疲労回復効果である、というのが僕の仮説です。

これを個人的にクエン酸のスッパマン効果と名付けることにしました。近い将来、偉い学者さんがこの効果を実証してくれるに違いありません。それが実現した暁には、ぜひこの名前を論文に使い、イグノーベル賞を狙って欲しいと思ってます。

 

5. クエン酸サプリの賢い選び方

さて、効果のほどは微妙なクエン酸でありますが、もし摂るならば、一体どれを選べば良いのでしょうか?

選び方は大きく分けて、無水クエン酸とクエン酸塩の二つがあります。

5-1. 無水クエン酸(粉末タイプ)

f:id:hucky:20151127185358j:plain

クエン酸サプリは、粉末タイプが主流です。今回実験に使った上のビタミンB群添加タイプは、近所のドラッグストアで購入しました。値段は250gで700円程度。Amazonや楽天なら無水クエン酸単独で1kg700~1000円程で買えます。

クエン酸は直接摂るには酸っぱ過ぎるので、通常はこの粉末を水やジュースなどに溶かして飲みます。

少し値は張りますが、水に溶かすのではなく砂糖やら何やらを添加して、直接口で飲みやすくしているタイプもあります。

5-2. クエン酸塩(錠剤タイプ)

純粋なクエン酸だと歯に悪いので、”クエン酸塩”の方が良いかもしれません。ミネラルバランスを考慮しつつ、クエン酸カリウムやクエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウムの形で摂るという手もあります。普段ミネラル系サプリを摂っている方なら、丁度良いと思います。

 

6. クエン酸のキケンな過剰摂取

6-1. 代謝性アルカローシス

おそらくクエン酸添加のスポーツドリンクを飲み過ぎたために、代謝性アルカローシスになったお子様の事例があります*18

代謝性アルカローシスとは、要するに血液pHのアルカリ化です。本気で血液をアルカリ化させるとどうなるかというと、筋肉が痙攣したり、ひきつったりと、色々良いことないです。

実際どれだけの量から過剰摂取になるかは、よくわかっていません。ラットの場合は、体重1kgあたり3000mgのクエン酸摂取で半数が死にます。これは、およそ食塩と同じレベルです。

人間もラットと同じだとするなら、60kgの人でクエン酸を180g摂取すれば、半数が死ぬことになります。醤油1リットル、食塩200g相当を一気飲みしたら、結構な人数がノックダウンかもと言われていますので、クエン酸の人体致死量も大体こんなものでしょう。もちろん、代謝性アルカローシスになるのは、それよりずっと低い分量で達すると思われます。

6-2. 酸蝕歯化

体験談でも触れましたが、何度も飲んでいると、いつのまにやら歯がツルツルしてきます。特に摂取直後の歯磨きを何日も繰り返すのは危険です。歯のエナメル質が溶けてきて、歯が黄ばんだり、知覚過敏になります。

クエン酸は弱酸性で、洗浄用にも使われるくらいなので、飲んだ直後に歯磨きするということは、実質、洗剤を使ってタワシで歯を磨いているようなものです。

クエン酸サプリの摂取時は、水溶液の場合、ストローなどを使って歯に触れないようにして飲むか、錠剤タイプのクエン酸塩の形で摂る方が安全です。

 

7. まとめ

  • 疲労回復のためのクエン酸摂取は、高速カーボローディング、疲労MAX時の乳酸消費などで、アスリートなら限定的に活用できるかもしれない。しかし、パフォーマンスには対して影響を与えない。
  • TCA回路活性化説は眉唾。血液pHアルカリ化説は、本当にそうなったら逆に危険。
  • クエン酸疲労回復説は日本では人気だが、海外では下火。
  • クエン酸の疲労回復効果は、スッパマン効果。プラセボと絡んだマイルドな疲労感解消型と推測。
  • 過剰摂取は代謝性アルカローシスを招く可能性あり。歯にも悪い。
  • ここまで読んでクエン酸を使う気があるなら、ミネラルと合体したクエン酸塩の形で摂る方が歯に良いよ。

Footnote

*1:正確に言えば、疲労のピークと血中乳酸値のピークは必ずしも一致しません。血中乳酸値は、乳酸産生量と乳酸酸化量のバランスで決まり、そのバランスは運動の性質(ダッシュorジョグ、走るor泳ぐ、全身運動or局所運動、短時間瞬発系or長時間持久系など)によって変わります。

*2:本当は日中も毎回同じ時間帯で摂りたかったのですが、時々飲み忘れてしまったので結局不定期に。

*3:クエン酸飲料を飲んだ時の感じ取る酸味の強さで、今現在の自分の疲労度を測る、という使い方もできそうです。

*4:実は、当初摂取期間を2週間で予定していたのですが、途中から歯が溶けそうな感じがしたので1週間に止めました。

*5:ミトコンドリア内膜を外から通過できる物質はかなり限定されています。材料の供給という意味での活性化なら、外から通ることのできるリンゴ酸の方が良いかもしれません。実際に米国ではリンゴ酸のサプリが売られています。

*6:特に律速酵素であるイソクエン酸デヒドロゲナーゼの数と活性度が、全体の反応速度の鍵になっています。酵素の活性度は、一般に、補因子・伝達物質などの他の物質との絡みや、体温・pHなどの環境条件で変わります。ピルビン酸とアセチルCoA・各種酵素の供給をバランスよく増やし、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ中心に各種酵素を最大限働かせる物質的・環境的条件を整えることができれば、それは間違いなくTCA回路活性化であると言えるでしょう。

*7:ブドウ糖(またはグリコーゲン)からピルビン酸に至る反応経路の一部である「フルクトース-6-リン酸→フルクトース 1,6-ビスリン酸」の酵素、ホスホフルクトキナーゼの活性を、クエン酸は阻害します。

*8:特徴の項目でも少し触れましたが、クエン酸はブドウ糖やグリコーゲンからのビルビン酸の供給を制限する一方で、乳酸→ピルビン酸→アセチルCoAの経路を活性化するという説があります。
参考: http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.104/No104.pdf
実際これを根拠にして、クエン酸TCA回路活性化説を唱えているHPもあります。確かに、この部分だけを見れば、乳酸が多い条件下であれば、クエン酸はTCA回路を活性化できると言えなくもありません。しかし、単に元材料のピルビン酸の供給経路がブドウ糖・グリコーゲンから乳酸にスイッチされただけとも解釈できます。そもそも、その乳酸自体も、ブドウ糖・グリコーゲンからピルビン酸を経て作られます。従って、総体としてTCA回路を活性化するとは、やはり言い難いです。

*9:痛風治療薬に使われるウラリット®(クエン酸カリウム/カルシウム)は、酸性傾向にある血液を、弱アルカリに戻すための薬です。よって、クエン酸サプリは、痛風予備軍の人であれば予防として機能しうるかもしれません。

*10:血液はpH7.35~7.45の範囲を常にキープしています。ただし、運動中の場合は、静脈血は動脈血より相対的に酸性に傾きます。
参考(1):http://physiology1.org/doc/chapter.php?Id=306
参考(2):http://physiology1.org/doc/chapter.php?Id=311

*11:筋肉疲労の原因の一つに、カリウムの筋肉外への漏出があります。細胞内が酸性の条件では、このカリウムの漏出が抑えられるという仮説もあります。細胞内の酸性化傾向に対して、血中のアルカリ化剤がどう絡むのかは、別途考える必要があります。
参考(1): 乳酸~「運動」「疲労」「健康」との関係は? (からだワンテーマシリーズ) p.80
参考(2): http://www.sciencemag.org/content/305/5687/1144.short

*12:「Citric acid」はクエン酸、「Citrate」はクエン酸塩。日本語版では同ページ内に書かれていますが、英語版では分けて記述されています。

*13:クエン酸にはキレート作用といって、カルシウムやマグネシウムと結合し、それらの小腸での吸収を補助する効果があります。

*14:あるいは、既に保存料として安く広く普及してしまっている以上、サプリとして売り出すには利幅が取りづらかったため、彼らはクエン酸疲労回復説についてこれ以上深く追求することを諦めたのかもしれません。

*15:昔は乳酸は疲労の一番の元凶と考えられており、その増減次第で疲労状態をコントロールできると考えられていました。しかし、現在は否定されています。疲労に伴って増加する物質ではありますが、エネルギー源として再利用されるものです。

*16:https://en.wikipedia.org/wiki/Chromogranin_A

*17:疲れが酸味の感じ方に影響を与えるとする、研究があります。
参考:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8670698
これとは逆方向の関係で、クエン酸の酸味の方も疲労回復感に影響を与えうる、というのが僕の仮説です。これを検証するには、クエン酸以外で同じようなレベルの酸味を与えるもの(酢酸など)と比べたり、酸味の影響を抜いた研究が必要です。

*18:国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nih.go.jp)の素材情報データベースに事例の記載があります。直接リンク・引用は禁止されているっぽいので、気になる方はご自身で。