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イミダゾールジペプチドは疲労回復に本当に効くのか?

疲労回復

イミダゾールジペプチドをご存知でしょうか?

名前が長くて舌を噛みそうなので、僕は「イミペプ」と勝手に略して呼んでいますが、俗に疲労回復にガチで良いと評判のサプリの一つです。

鳥のムネ肉やマグロの尾ヒレに多い成分で、これを摂取すれば、
「君も渡り鳥のように遠くまで飛べる。鳥人になれる!」
「あなたも大型回遊魚のように高速移動できる。マグロ男になれる!」
と、まことしやかに喧伝されています。

鳥にもマグロにもなりたくないと思いますが、遠くまで飛べるような持久力と、高速に動ける瞬発力は魅力的ですよね?

軟弱に見えて意外にマッチョ、受け身に見えて実は大胆…。

どんなプレイにも耐えられるタフネスと、ここぞ!という時の瞬間的爆発力を秘めた、高機動耐久型チキンマグロ男に、僕らはなれるのか?

はたしてイミダゾールジペプチドは、そんな男の夢をカムトゥルーしてくれるのか?

イミペプについて調べたことをまとめつつ、自らの肉体で検証してみました。

photo by jepoirrier

INDEX

1. イミダゾールジペプチドの凄いかもしれない特徴

まずは、イミペプの持っている特性について、ざっくりと簡単に説明します。

1-1. βアラニン+ヒスチジン

ジペプチドとは、アミノ酸2個が合体したものです。イミペプの場合、βアラニンとヒスチジンというアミノ酸2種がドッキングしています。ヒスチジンの形の違い*1によって、カルノシン・アンセリン・バレニンの3種のイミペプがあります。

1-2. 抗酸化作用

疲労の原因として、体内の活性酸素の増加がある、と言われています(酸化ストレス説)。イミペプには、この活性酸素(特に塩素系ラジカル*2)を抑える働きがあります*3

1-3. 動物のよく動く部位に存在

イミペプは、動物の全身の筋肉に広く存在していますが、とりわけ、その動物がよく使う部位に集まっています。例えば、鳥なら胸肉、回遊魚なら尾びれ、人間なら脳に多く含まれています。

1-4. 脳に集中して作用

ペプチドは通常、小腸でアミノ酸レベルに分解された後、アミノ酸として血中をぐるぐる巡り、合成酵素のある細胞で、何らかのタンパク質の材料として利用されます。

イミペプを摂取すると、小腸でβアラニンとヒスチジンに分かれます。その後、この2つは脳以外の場所で利用されるより、脳内で再びイミペプとして再合成されやすい、と考えられています。人間には脳にイミペプ合成酵素がたくさんあるためです。

つまり、イミペプには、脳神経系の疲労に集中的に作用しやすい性質がある、ということです。イミダゾールジペプチド=脳を愛する抗酸化剤と覚えておけば、大体大丈夫です。

2. イミダゾールジペプチドの吃驚摂取体験談

f:id:hucky:20151119060804p:plain

続いて、実際に摂取してみた感想です。

2-1. 【実験】イミペプサプリ1日400mgを2週間摂取

検証方法は、まず市販のイミペプサプリを1日400mg・2週間摂取後、イミペプなしで1週間を過ごし、その時の疲労状態を観察しました。疲労度を示す客観的な指標は特になく、あくまで筆者個人の主観になります。

利用したイミペプサプリは、日本予防医薬のイミダペプチド®。錠剤タイプで1日8粒(イミペプ400mg)を朝晩2回に分けて、2週間飲んでみました。

2-2. 摂取中の観察記録

摂取直後
飲んだ直後は、疲労感に特に変化なし。

摂取開始2~3日後
特に大きな変化は感じなかったものの、目覚めは良くなった気がしました。

摂取開始4日後
金曜日で1週間の疲れがピークになる日。こんな日に限って残業発生。しかし、辛いはずの残業が、楽々とまではいかないものの、割と平気に!

摂取開始7日後
関係あるかどうか不明なものの、なぜか性欲の高まった1日。何度でもイケる感じって言えば、分かりますかね?

摂取開始9日後
週の半ば、残業発生。週末以上に残業が楽に!

摂取開始14日後
特に大きな変化なく、継続摂取終了。

イミペプなしで1週間経過後
先週のように残業が発生しなかったため比較し辛いですが、疲労の感じ方が摂取以前の頃に戻ったとは特に感じませんでした。ただ、睡眠が十分であるにも関わらず、起床後何となくだるくなった感じ。イミペプの有無で疲労の回復度が変わったのかも?

3. イミダゾールジペプチドの真面目な科学的評価

では、イミペプの科学的な評価はどうなっているのでしょうか。

人間に対する研究としては、大阪市立大学大学院医学研究科に一連の論文があります。

▼大阪市立大学大学院 医学研究科 疲労医学講座
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/fatigue/topics/ronbun.html

疲労状態を測るための科学的な評価は、 主に

  1. パフォーマンスの変化
  2. 主観的疲労感の変化
  3. 疲労に関わる生理物質の変化

の3つの観点でなされます。

上の論文群にによれば、イミペプは身体パフォーマンスを劇的に高めると言えるほどではないものの、中期の継続摂取で疲労感の発生を抑える効果があるようです。

その他、イミペプに関する他のエビデンスや詳しい科学的特性については、脚注*4を参照下さい。

4. イミダゾールジペプチドの超個人的考察

直接摂取体験と科学的評価をふまえた上で、イミペプについて考えてみます。

ざっくりとした印象ですが、続けていると、もしかしたらじんわり効いているかもしれない、という感覚です。

摂取直後にはっきりとした”効いている感”はありません。つまり、アルコールや糖分のように、疲労感に即効ダイレクトに訴えるタイプではありません。

摂取期間中、残業が多少楽になったのは確かです。飲むのを止めた後、何となくだるくなったのも事実です。しかし、イミペプ摂取とは直接関係ないかもしれない。摂取直後の体感が薄いため、評価のし辛い所です。

ただ、こうした体感は、”継続摂取で疲労感の抑制に有効かもしれない”という科学的評価と一致するとも言えなくもありません。

運動をよくしている人、脳味噌をよく使っている人であれば、筋肉や神経の消耗が激しい分、もっと明確にポジティブな効果を感じたかもしれません。

しかし、僕の場合、下半身の特定の先端部分以外の運動をほとんどしないですし、脳味噌に関しても特定の視聴覚および触覚部分以外の機能を一切使わない人間ですので、「これは確実にイミペプ効果だ!」とはっきり言えるほど、実感がわきませんでした。

正直、劇的な効果を期待をしていたせいもあって、多少のがっかり感があります。高機動耐久型チキンマグロ男への道は、そう甘くはないようです。

ただ、「鶏ムネやマグロを毎日意識して食べるのはいいかもしれない」と思わせる程度には、そこはかとなく清らかで淡い青春官能的期待は持てます。

クラス一のイケイケな美女というよりは、そこそこ綺麗なんだけどちょっと地味目な隣のお姉さん的存在感、と言えばよいでしょうか。好きな人は、すごく好きになれるサプリだと思います。

さらに言えば、鶏ムネを綺麗なお姉さんのおっぱい(◎)(◎)だと思い込んで食べれば、強烈なプラセーボ効果と相まって、めちゃくちゃ効きそうな予感はします。が、僕の貧困なイメージ力では無理そうです。鶏ムネは、おっぱいというより、おっさんの胸板[□□]を連想してしまいます。

いずれにせよ、明確な効果を感じ取るためには、毎日のハードワークと、心身疲労に対する鋭敏な感受性と、地道な継続摂取が必要と思われます。ぶっ倒れるまで、毎日飲み続けよう!がんばろう!

5. イミダゾールジペプチド系サプリの賢い選び方

イミペプサプリは各社から製品化されています。

最初の方に触れましたが、イミペプはちょっとした形の違いによって、「カルノシン」「アンセリン」「バレニン」の3種類に分かれています。

種類ごとに具体的な効果の差はあるのかと問われると…抗疲労作用・抗酸化作用に限って色々調べてみましたが、正直よく分かりませんでした。人体に対してフェアな条件できちんと比較した研究が、現状不十分なようです。

ただし、疲労回復という点では、どれも効果あるんじゃないか?と考えられています。

基本、何の動物から抽出するかによって、どのタイプのイミペプが多く含まれるのかの違いが出てきます。以下、代表的な5つのパターンです。

5-1. チキンエキス由来(カルノシン・アンセリン混合)

サプリのラベルにチキンエキス由来と書かれていたら、それは鶏肉から抽出したイミペプ*5である、ということです。鶏肉にはカルノシンもアンセリンも両方含まれています。鶏肉は、およそ1:3の割合でアンセリン多め*6です。実験で使用したのはカプセルタイプですが、ドリンクタイプもあります。

5-2. フィッシュ由来(アンセリン)

マグロやカツオなどのエキスから抽出したイミペプです。フィッシュ由来のものはアンセリンになります。アンセリンのみサプリは、疲労回復のみならず尿酸値を下げるサプリとしても売り出されています*7。プリン体の代謝にも関わるようです。

5-3. クジラ由来(バレニン中心)

昔から疲労回復に効くと言われている食材に、鯨肉があります。このクジラの疲労回復成分もイミペプの一種で、バレニンと呼ばれています。クジラの種類にもよりますが、赤身肉100gあたり1000mg以上と、鯨肉にはバレニンが豊富に含まれています*8。ちなみに、日本捕鯨協会のゆるキャラの名前にもなっています*9

5-4. L-カルノシン単体

米国を中心とした海外では、イミダゾールペプチドの名でなく、L-カルノシンの名で販売されています*10。実質同じと考えて大丈夫です*11

米国サプリの特徴は、政府が要求する品質の基準が日本より高いことと、大抵のサプリは日本製より安いこと。つまり、お買い得であることです。

送料を除いた価格を比較すれば、今回僕が摂取したイミダペプチド®がイミペプ成分100mgあたり125円に対して、上の写真のNOW社のサプリは某ショップで同成分100mgあたり9.2円で買えます。

価格差なんと13分の1以下。同じ値段で日本産1ヶ月分=米国産1年分以上です。海外サプリ、おそるべし。

5-5. 個別アミノ酸(βアラニン+L-ヒスチジン)

イミペプはどうせ全て小腸で分解される*12のだから、いっそのことアミノ酸の形で、β-アラニンとL-ヒスチジンを摂ってしまおう、という戦略もあります。そして、その方が分子量あたりのコストは、L-カルノシン単体よりもさらにお安くなります。

ちなみにβアラニンは、ボディビルダーや筋トレ好きによく使われているサプリです。ヒスチジンは肉・魚・豆などを日常的に摂っていれば不足することがない栄養素なため、サプリではわざわざ摂らず、βアラニンのみ摂取する人が多いようです。

6. イミダゾールジペプチド(βアラニン+ヒスチジン)のキケンな過剰摂取

後日、別の日程で、実質成分は同じである、アラニンサプリとヒスチジンサプリの同時摂取も試してみました。

当初は分子量をイミペプ400mgと同じに調整して試そうと思ったのですが、ヒスタミンの錠剤が1個500mgと多めで割って飲むのが面倒臭い、βアラニンパウダーが値段の割にはボリュームあり過ぎで品質保全のため早く消費し切りたい、効果を早くはっきりさせたい、という諸々の理由で、あえて多めに摂取することに*13

ところが、摂取し始めて2日後、全身に少しかゆみが出てきました。続いて、5日後に激しい鼻水を伴う風邪を引きました。身も心もチキンな僕は途中で怖くなったため、やむをえず摂取を中断しました。

かゆみも鼻づまりもヒスタミンという物質が関与しているのですが、ヒスチジンはこの材料になります。

イミペプ1日1200mg・4週間摂取させた場合の調査*14によれば、この程度の量(推奨量の3倍)のイミペプを飲んだからといって、特別変な症状が出るわけではないようです。

僕の場合、ヒスチジン過剰によりヒスタミンを大量に作りやすい体の状態になり、同時にタイミング悪く風邪を引いたせいで、風邪の症状が強く出過ぎた、ということかもしれません。

あるいは、今回使ったβアラニンかヒスチジンのサプリに変なものが混じっていたとか、βアラニンの方が割合的に多過ぎだったので真犯人はβアラニンだったとか、考えられる原因は他にも色々です。

しかし、原因が何であれ、特定のサプリを過剰摂取すると、こういったよく分からない症状が出やすくなります。推奨量は一応守っておいた方が無難です。

基本、単一アミノ酸の過剰摂取は偏食と同じようなものです。アミノ酸系サプリは、アスリートのように積極的に体を作り替えようとしている人たち、何らかの欠乏症に患っている本当に必要な人たち以外は、あえて推奨量を超えて摂るメリットはないんじゃないかなと、個人的には思います。

7. まとめ

  • イミダゾールジペプチドは、ひとことで言うと、脳を愛する抗酸化剤。
  • 摂取直後の効果の体感はごくごく薄目だが、後々地味にじんわり効いてくるような気がする印象。
  • 科学的根拠は、総じてポジティブな評価多め。人間に対しては、特に継続摂取による中期的疲労感減少に有効かもしれないのが、他になさそうな特徴。
  • サプリの選択は、チキン・フィッシュ・クジラ・L-カルノシン・アミノ酸の5パターン。チキンハートならチキン、尿酸値も気になるならフィッシュ、バレニンちゃんファンならクジラ、お買い得ならL-カルノシン、過剰摂取してみたいならβ-アラニン+ヒスチジンをおすすめ。
  • 過剰摂取は、色々やめておいた方が後々無難。
  • イミダゾールジペプチドを摂るだけでは、高機動耐久型チキンマグロ男にはなれない。何事も地道な努力が大切。あろんぐウェイトゥゴー。

Footnote

*1:ヒスチジン側のメチル基の有無と、その位置が異なります。
参考:http://www.cinron-biomed.com/history1.html

*2:アンセリンカルノシンの科学館 - 理想的な抗酸化食品:
http://www.cinron-biomed.com/idealfoods.html

*3:種本の一つ、『最新医学でスッキリ! 「体の疲れ」が消える本 (成美文庫)』によれば、「活性酸素によって酸化された細胞から老廃物出現→疲労因子FFという物質が誘発→体内にFFが増えるとお疲れモード」というのが、もう一歩詳しい作用機序になります。イミペプはこのFFを減らしてくれるとともに、FFの逆因子である疲労回復物質FRを増やしてくれるとのこと。ただし、これに関する論文発表はされていないようで、FF・FRの詳しい組成・構造は不明。
▼参考:慢性疲労患者における唾液の生物学的評価
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/03kondou/report03.html

*4:【イミダゾールジペプチドについて詳しいHP一覧】
▼アンセリンとカルノシンの科学的特性(アンセリン・カルノシン研究会)
http://carans.jp/newpage2.html
▼アンセリン・カルノシンの抗酸化剤としての特徴(東海物産株式会社)
http://www.tokaibsn.co.jp/kenko/
▼動物実験を含めたカルノシン・βアラニンの効果の概要(わかさの秘密)
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/imidazole-dipeptide/#p04
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/entry_215/

*5:チキンエキスの製法(東海物産株式会社):
http://www.imida-tokai.com/patent/patent01.html#text03

*6:サプリの最終形態において、この割合がどうなっているのかは不明。元の材料の段階で、この割合通りでない可能性もあり。製造過程で変わっていく可能性もあり。

*7:新しい機能性素材アンセリン&その可能性について(焼津水産化学工業株式会社):
http://www.yskf.jp/anserine/index.html

*8:鯨類体内におけるイミダゾールジペプチド類の比較: http://www.fishexp.hro.or.jp/exp/central/report/hokoku/74/74-tsuji.pdf

*9:日本捕鯨協会のバレニンちゃん:
http://www.whaling.jp/pdf/topics_20150827.pdf

*10:アミノ酸にはD型とL型があります。互いに鏡合わせの関係になっていて、構造が少し違います。生物がタンパク質合成に使えるのは、L型です。

*11:ただし、海外製カルノシンの具体的な製法については、よく分からず。写真のNOW社のサプリは、"Vegitarian Formula"とベジタリアンOKの記載があり、公式にもチラッとその点書かれていました。動物由来でないならどうやって作るのだろう、と疑問がわきます。実際チキンエキス由来なのだけど、ベジタリアン基準は満たしているからOKということかもしれないですが、この辺りの詳細は不明。
参考:http://www.nowfoods.com/L-Carnosine-500-mg-50-Veg-Capsules.htm

*12:ジペプチドは直接小腸に吸収され、そのまま門脈系に至る、という説もあります。
参考(1):http://prt.nu/0/oligopeptide
参考(2):http://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch3-1/keyword2/
ただ、近年発行された栄養学・生理学の教科書を複数調べてみたところ、どのペプチドも小腸内で全てアミノ酸に分解されると書かれていたり、記述が曖昧(例えば、小腸上皮細胞にジペプチドの形で吸収されたとしても、上皮細胞内で全てアミノ酸化するのか、それともそのまま通過して直接門脈系に入るのか、”吸収”の意味する範囲が不明瞭)だったりで、どの説が現状のスタンダードなのか分かりませんでした。単に記述が古いだけかもしれませんし、専門家の間でも議論が割れているのかもしれません。
少なくとも小腸での吸収のされやすさ自体は、アミノ酸単体よりジペプチドの形の方が上であることは確かなようです。似た性質のアミノ酸がたくさんあると、小腸での取り込み口を争って吸収阻害が起こると考えられています。
参考(3):http://www.act5-cspp1.co.jp/popoup007.html

*13:1日の摂取量をβアラニン2000mg、L-ヒスチジン500mgで試しました。分子量はそれぞれ、カルノシン226.23g/mol、βアラニン89.1g/mol、ヒスチジン155.15g/mol。イミペプの全てがカルノシンだとすると、イミペプ400mgに対し、βアラニン約158mg、ヒスチジン約274mgで分子の数はほぼ同数です。この実験では、イミペプ400mgの場合と比較して、βアラニン部分は約12.7倍、ヒスチジン部分は約1.8倍の数を摂取したことになります。

*14:健常者を対象とした CBEX-Dr 配合飲料の過剰摂取における安全性:
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/fatigue/topics/pdf/cbexdr_anzen2.pdf